奥深い賽銭箱
最終更新2015/1/9
制作期間:2013/12/1~12/13
何が奥深いかというと,蓋を取り,暗くしてスイッチを入れると
こんな感じで「千本鳥居 in 賽銭箱」となります.
経緯
「ニコニコ技術部@札幌勉強会を開催するから何かプレゼンして欲しい」と依頼があったため,奥が深い賽銭箱を作ってみました.
2013年の秋に関西旅行に行った時,京都で千本鳥居を観て,「合わせ鏡を使って無限に鳥居を並べたい」と思っていたところだったので丁度良いタイミングのお誘いでした.
ただ,せっかくならニコニコ技術部っぽいネタをと思い,ニコ技,京都というワードから,神社,巫女,ゆっくり,霊夢...賽銭箱!という感じでこのネタに至りました.
普段はアクリルの透明感を活かした設計が多いのですが,今回は完成形が決まっていたため,素材集めと塗装試験,設計に時間がかかりました.
構成
賽銭箱となる木箱と,その中に千本鳥居ユニット及び電池・簡単な回路で構成されています.
賽銭箱
MDFをCNCフライスで切削した後,塗装して仕上げました.奉納の文字もCNCによるものです.
本来は全パーツ分解できるようにしたかったのですが,箱は木工用ボンドで固定しているため,千本鳥居のユニットを取り出すには側面の木を破壊しなければなりません.
一部接触不良でLEDが点灯しなくなってしまったので,分解するか迷ってます...
あ,賽銭箱ですがお金を入れることはできません^^;
千本鳥居
手前側にアクリルハーフミラー,奥にアクリルミラーを配置しすることで,内側は合わせ鏡の状態になります.その間に鳥居を1つ配置し,周囲をLEDで照らすと内側では鳥居とLEDが無限増殖します.
LEDは個別点灯可能な設計になっていますが,現在は特に制御を行っていないので電源をつけたら全部点灯します.マイコンを仕込んでオーディオ信号をFFTしてLEDを制御でもしたら面白そうですね.いつかやりたいです.
制作過程
内側のものから順に作っていったので,鳥居,合わせ鏡,側面基板とLED回路で千本鳥居ユニットを作り,その後に賽銭箱作りを行いました.勿論,それぞれのステップに進む前に事前の予備実験(塗装テストなど)は適宜行っています.
千本鳥居ユニット
鳥居の設計
旅行に行ったとに撮った写真やweb上の鳥居の解説・写真を参考にして,Shadeでだいたいの形状を設計していきました.
写真を見る限り,稲荷神社の千本鳥居は,台輪鳥居(稲荷鳥居)でなく明神鳥居に見えます.
というわけでパーツは「柱・笠木・島木・貫・額束・楔」のパーツを作りました.
Shadeで3次元的にバランスを整えてdxfとしてエクスポートし,jw_cadで読み込んで設計をしていきます.
鳥居のサイズをねんどろいどを並べたときにバランスよく見えるように調整...したはずだったんですが...
後日,霊夢のねんどろいどを購入した後に知ったのですが,基準にした手元にあったねんどろいど(零の軌跡)が,ぷちサイズだったので,通常のねんどろいどではちょっとアンバランスになってしまいました.ねんどろいどって思ったより大きいんですね...(ノ∀`)
通販の欠点といったところでしょうか.
鳥居の制作
寸法を考えながら素材を決めていきます.アクリルか,プラバンか,塗装は何でするのかなどなど.
何も考えず設計して,入手困難な厚みの素材を使うことになっても仕方ありませんからね.というかそのぐらいの制限がないと自由度がありすぎて設計も大変なのですが.
最終的にはアクリル,プラモデル用プラスチックパイプで作ることにしました.他にはラッカースプレー,穴埋めに万能パテぐらいでしょうかね.
ホワイトベース塗ってラッカーで塗装.コレがないと塗装しても色が透けてしまいます.
合わせ鏡用のアクリル加工
ハーフミラー・鏡はどちらもアクリルです(流石にガラスは加工できませんので).
あまり見かけることのない素材かと思いますが,東急ハンズや通販,ヤフオクで入手することができます.
今回はいずれもネクタイを作った時の端材や余分に購入したものです.
アクリルなので加工は簡単です.
いつもどおりオリジナルマインド様のCNCフライスで普段通り切削するだけです.
側面基板
合わせ鏡の内側には光源を配置する必要がありますので,LEDを取り付けるために基板を側面の板として使います.
黒ラッカーを塗った基板にLEDをハンダ付けして側面パーツ完成(゚∀゚)
回路の制作
とりあえず光ればいいか,ということで何も考えずLEDと抵抗とスイッチだけの回路です.
賽銭箱の制作
設計
こちらは実際に自分の目で確認していなかったので,webの写真を参考にしながら自分のイメージと実現可能そうな形状を決定しました.ユニットが入るサイズとMDFの厚さのバランスを調整しながら大きさを決めてCADで描いていきます.
作った後で知りましたが,「賽銭箱デザイン学会」なるものがあるんですね.今回作成したのは和櫃型に相当するかと思います.
あと,作った翌年に偶然そっくりな賽銭箱を発見しました.ものを作ったり絵を描いたりすると,何気なく見ているものも注意して見るようになりますね.
パーツの削りだし
設計が終わったらパーツを作っていきます
塗装
MDFは木の粉末を圧縮して固めたもので,加工しやすい反面,木目といった木の味がありません.サークルで別用途で使った水性のガーデニング用塗料を刷毛で塗るといい感じだったので,塗装はこれに決定.
組立て
これでパーツがほぼ全て揃いました.あとは組み立てていくだけです.
もう後戻りはできない.
写真撮影
設計の意図としては,鳥居と東方ねんどろいどのバランスをこのぐらいで想定していたんですが^^;
コメント
ネクタイに引き続き,奥深いシリーズ第二弾です.
自画自賛するのもどうかと思うのですが,思ったよりいい感じに出来たと思います.
2週間,研究をサボった甲斐がありました.
個人的にはかなりお気に入りの作品なのですが,周囲からの人気はネクタイの方が上な気がします.
ニコニコ技術部@札幌勉強会に出したということもあるので,動画作ってニコ動にうp...と考えて入るもののなかなか手付かず.
それに加えてせっかくLEDを個別制御できるような回路にしてあるのでそのうちやりたい...のですが,まだ実装していません.既にプログラムと回路の試作実験は終わっているんですけどね.
「やりたい」と思いながら,手をつけ始めるまでってかなり気合いが必要なんですよね(´・ω・`)
(やり始めると止まらないのに)
きっと何かイベントとか締切りが迫るとやり始めるんでしょうねw
ただ「気合い」という精神論の他に今回に限っては,残念なことに「接触不良でLEDが2個ほど点灯しなくなってしまった」ということも手付かずの原因の1つです.分解できるようにしたかったのですが,ネジを入れる場所がどうしても思い当たらなくて木工用ボンドで接着してしまい,メンテナンスするには一度壊さなければなりません.
もしかすると,綺麗に剥がれて再度接着できるかもしれないのですが,少々リスキーなので躊躇しています.
これも後から知ったのですが,世の中にはLED string lightというモノがあるらしく,シリアル信号で連続して接続されたLEDを制御できるようです.しかもフルカラー制御.
これで作ったら制御も簡単だし色も自在に出せるし,本当に面白そうですよね~.
参考サイト
鳥居関係
賽銭箱関係
材料・工具
素材
- MDF 5.5mm厚
- アクリルミラー(A4サイズ,厚さ2mm)
- アクリルハーフミラー(厚さ2mm)
- 白色LED@いつだかの千石電商セール品
- アクリル板(5mm,3mm)
- 万能パテ@モノタロウ
- プラモデル用プラスチックパイプ
- その他諸電子部品(生基板,ユニバーサル基板,チップ抵抗など)
など
工具
- オリジナルマインド KitMill RD300
- 日進 樹脂用エンドミルΦ1 x5mm
- 基板加工カッター 土佐昌典VC
- のこぎり
- HOZAN バンドソー
など
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